ペンシルロケットの水平試射
「朝日ニュース昭和映像ブログ」にペンシルロケットのニュース映像がありました。
映像だけ見ても「何じゃこら」って思う人が多いかもしれませんが,実は当時世界的にも画期的なことをやってのけてます。それがロケットの水平試射です。
当時の日本のロケット開発の状況は相当厳しかったそうです。全く何もないところから技術を積み上げなくてはならず,材料の調達すら困難を極めていました。普通ロケットというのは空に向けて垂直に打ち上げるものだという固定観念があります。それを実験として行うには飛翔するロケットを追跡する観測装置などが必要ですが,当時の開発チームにはそれを作る時間も予算もありませんでした。他の先進国が次々とロケットを打ち上げていく中,それに追いつくためにはただ飛べばいいというものではなかったのです。
そこで考え出されたのがロケットの水平試射でした。水平試射ならロケットのサイズは小さくても構いませんし(むしろ小さいほうがいい),観測装置も安価に作ることができます。映像ではロケットの前に的のようなものが何枚も重ねられていますが,あれは吸取紙に細い導線を貼り付けたもので,それを切り裂いていく時刻を電気的に記録することによってロケットの速度や加速度が測定できるようになっています。更に的の破れ方からロケットの飛翔経路や軸方向の回転具合も分かるという優れものの装置なのです。
この水平試射実験は1955年4月12日,13日,14日,18日,19日,23日と行われ(映像は 4/14 の公開実験らしい),全29機全て成功しました。ここから日本のロケット開発は新たな段階をむかえていくのです。この辺の話は『はやぶさ―不死身の探査機と宇宙研の物語』に詳しく載っています。興味のある方は是非ご覧になってください。